硬度の話
軟水の国 日本に生まれ育つと、
大陸では一般的な、硬水の
ハードな口あたりとのど越しに驚かされることがある。
水の硬度は、含有するカルシウムやマグネシウムの量を
炭酸カルシウムの量に換算して数値で表したものであるが、
60mg/L未満を軟水、60〜120を中軟(中硬)、
120〜180を硬水、それ以上を超硬水という。
一本義の仕込み水の硬度は、27mg/L。
軟水の国に生まれ育っても、思わず2杯目に手が伸びる。
超軟水のやわらかな口あたりには、そんな魅力があるようだ。
要らぬミネラルの話
水には、酒の香味劣化と変色を促進させる不要なミネラルがある。
その代表は鉄分とマンガン。
水道水の許容含有量は、鉄の場合、0.3mg/L(1千万分の3)、
マンガンなら0.05mg/L(1億分の5)以下となる。
これが酒造用水の場合は、
それぞれ0.02mg/L(1億分の2)以下を要求される。
一本義の仕込み水は、鉄含有は0.01mg/L(1億分の1)未満、
マンガンは0.005mg/L(10億分の5)未満。
双方、検査検出限界値。
この水が、やがて一本義の酒となるのだ。
黄金色の風景を支える、
土と根っこの話
福井の水源にして、森の香りを空気に感じるほどの上流域ゆえに、
真夏でも、清冽な地下水が田んぼに流れる奥越前盆地。
その肥沃な土や、地の深さという“地力”は、
作物の根を、大地の中に張り巡らせるように育む。
そんな力強い土をつくり上げてきたのは、
“奥越前農業人の遺伝子”なのだろう。
稲わらを全量漉き込んで土壌へ還元するなど、
良質な土づくりへのこだわりを、世代にわたり続けてきたのだ。
奥越前を黄金色に染める秋景色。それはこうした土と根っこという
土台があってこその風景なのだ。
盆地はなぜよい米が
出来るのかという話
農作物は、太陽を浴びて光合成により養分を生成し、
夜間は呼吸によりその養分を消費する。
夜温が低いと養分消費が減るため、結果として
最終蓄積される養分量は大きくなる。
稲作では、夏の昼夜気温差が10℃あると
それは最良な環境といえるそうだ。
米の成長にとって最も大事な8月前半、
奥越前は、昼夜気温差平均10℃超で過ごす。
これぞ、奥越前盆地気候!